妙法寺川を巡りながら② (井草川)

先日、三等三角点「八成」を訪問し、その後、妙法寺川を巡った。

先日は、妙法寺池から、明治通り脇の神田川との合流地点まで。

今回は、妙法寺公園の上流を巡った。

 

bullbull-musao.hatenablog.com

 

 

 

 

井草川

 

妙法寺池を水源とする、妙法寺川。

しかし、この妙法寺池に流れ込む川がある。

それが井草川である。

川と言ってもほぼすべてが暗渠であり、昔の川の姿は想像出来ない。

 

この井草川の水源は、杉並区上井草四丁目にある杉並区の切通し公園とされる。

 

f:id:BullBull-Musao:20190902153839j:image

 

井草川は、切通し公園から、歩行者専用道路としての緑道としてはじまる。

最初から、開渠の川がない。

東へ流れ、杉並工業高等学校へ。

 

f:id:BullBull-Musao:20190901230049j:image

 

その後は、三谷公園で再度、緑道ははじまる。

三谷小学校の北側に沿って走り、徐々に北上を始める。

 

f:id:BullBull-Musao:20190901230124j:image

 

西武新宿線上井草駅井荻駅との間を、線路の北に上る。

しばらく、西武新宿線と並行に行くが、再度、井荻駅の手間(所沢側)で線路の下を南に抜ける。

 

線路の下を抜けて、進路を東に変え、線路と並行して走る。

環八通りの下をクロスし、しばらく直進する。

 

f:id:BullBull-Musao:20190902195134j:image

 

その後、井荻駅を過ぎた辺りで南東に方向を変える。

しばらくして、南に方向を変え、最後は、妙法寺公園に北側かわ入り込んでいく。

 

 

地形の特徴

 

杉並区は大きな起伏の台地はない。

が、いくつかの谷戸で川が面白いほど並行して形成されている。

 

f:id:BullBull-Musao:20190902152525j:image

 

水源の切通し公園と善福寺公園は、直線で500mほどしかない。

(一番上の航空写真で一目瞭然)

ご存知の通り、善福寺公園は、善福寺公園の水源である。

わずかな距離の間に分水嶺がある。

ちょうど、青梅街道が分水嶺のところ走っているかと思ってしまう。

 

この狭いエリアに標高差のある台地があるかいうとそうではない。

少しの起伏の差が、異なる川を形成しているのである。

井草川の特徴は、高低差がない。

水源の切通し公園は、標高約45m、妙法寺公園の標高は約40m。

標高差は、5mほどである。

 

下の地図を見てもらいたい。

このエリアの標高差が少ないことがわかる。

 

f:id:BullBull-Musao:20190901193736j:image

標高40mから2mの刻みで微妙な高低差を見れるようにな表した。

f:id:BullBull-Musao:20190902213451p:image

 

その、少しの起伏が、井草川の流路を作っている。

井草川が流れるエリアの標高差は、ほんの僅か、2mほどである。

最大の標高差があるのは、上井草駅の南側あたり。

それでも、5mほどだと思われる。

 

水源からの直線距離は、1,900m。

しかし、川の長さは、3,500m。僅かな高低差をクルクルと周って走っている。

(いずれも私の計測値ですので参考値として)

 

 

井草川を巡って

 

水源地へ

 

まずは、水源の切通し公園に。

f:id:BullBull-Musao:20190902171818j:plain

 

縄文遺跡があったところらしい。

この公園を入って行くと、だんだん傾斜して、下がっていく。

 

この傾斜地のどこかが水源だったのではとの感想。

公園を下がり切ると、傾斜地であることがよくわかる。

f:id:BullBull-Musao:20190902172120j:plain

 

ここで、暗渠的なものが2つ。


f:id:BullBull-Musao:20190902173051j:image

f:id:BullBull-Musao:20190902173059j:image

 

右側が、低い位置なので、多分右側が名残りではないか。

右側を進むとさらに枝分かれする。


f:id:BullBull-Musao:20190902173248j:image

f:id:BullBull-Musao:20190902173253j:image

 

とりあえず、右側の如何にもって感じの方を進む。

杉並工業高校の敷地に沿って、その暗渠らしいものは伸びていた。


f:id:BullBull-Musao:20190902213354j:image

f:id:BullBull-Musao:20190902213400j:image

 

感じとしてはいい感じであったが、高校の敷地へかどこかで行き止まりとなってしまった。

もう一方の方も、高校の敷地の前の道路で終わり、高校の敷地へ入っているように思える。

 

結論としては、経路は不明であった。

あるいは、この辺り一帯が井草川だったかも知れない。

 

緑道を進む

 

 三谷公園

f:id:BullBull-Musao:20190901194136j:image

 

三谷公園からも緑道で始まる。
f:id:BullBull-Musao:20190901194104j:image

 

三谷小学校と道灌公園の間の緑道。

このように、暗渠が続く。
f:id:BullBull-Musao:20190901194030j:image

 

四宮森公園から、西武新宿線の下を抜ける。
f:id:BullBull-Musao:20190901194057j:image

 

北側から見ると、開渠だった川の名残りがある。

橋としての線路、そして、脇にはツツジ
f:id:BullBull-Musao:20190901194010j:image

 

線路を抜けると東に進路を変えて、矢頭公園に入っていく。
f:id:BullBull-Musao:20190901194021j:image

 

矢頭上橋の記憶を伝えるモニュメント。
f:id:BullBull-Musao:20190901194048j:image

 

井荻駅の手前でまた南下。線路の下を抜ける。

建物と建物の間に、川だった頃の形が残っていた。

f:id:BullBull-Musao:20190901194127j:image

 

踏切で線路を渡る時に撮影した。

やはり、線路は橋としての形状である。
f:id:BullBull-Musao:20190901194142j:image

 

線路の南側、柿木北公園からの、線路の状況。

やはり、昔の橋の感じがある。
f:id:BullBull-Musao:20190901194003j:image

 

環八通りの前は、歩行者専用道路から、広い道路に変化。
f:id:BullBull-Musao:20190901194120j:image

 

環八通りを抜けてもしばらくは広い。

環八通りの下を抜けているが、そこは駐輪場となっており、暗渠がどのように処理されているのか疑問である。
f:id:BullBull-Musao:20190901193953j:image

 

広い道路も、井荻駅を過ぎると緑道となり、やや、南に進路も変える。
f:id:BullBull-Musao:20190901194114j:image

 

最後は、進路を、真南に変える。
f:id:BullBull-Musao:20190901194015j:image

 

そして、緑道をひたすら進むと、妙正寺公園に。

公園内も暗渠て、妙法寺池に注ぐ。
f:id:BullBull-Musao:20190901194038j:image

 

 

川として生きていた頃

 

「写真展 レンズの記憶ー杉並、あの時、あの場所ー展示図録」の中に、井草川の写真がある。編集・発行:杉並区立郷土博物館である。

 

意外と最近まで、田園風景と川と子供たちが共存していたことがわかる。

 

井草川の周辺は長閑かな田園風景が広がっていた。

子供たちは、小川でザリガニ捕りなどで遊んでいた様子が写真に残っている。

 

上井草3丁目18付近 昭和35年頃 の写真(寺田義男氏提供)を見ると、まるでここが杉並かと疑ってしまう。

現在では、上井草スポーツセンターの南東あたりではないか。

寺田義男氏の写真を元に、想像図を描いてみた。


f:id:BullBull-Musao:20190902193037j:image

f:id:BullBull-Musao:20190902193030j:image



 

今は、暗渠となり、緑道として、公園の一部みたいになってしまった井草川。

でも、以前は、多くの人々の生活の中の一部に川があったのだろう。

 

生活排水などの混入、高低差が少ないことによる川の澱み・匂い。

時には水害も。そして、暗渠へ。

それらは、田園地域の都市化がすべての原因であったと思う。

 

「ただ、田園を宅地にする」、そんな街づくりを行う前に、

人間は、私たちは、もう少し出来ること、考えることが出来なかったのだろうか。

 

訪問日:2019年8月31日(土)

このWebページで使用している地図は、国土地理院地理空間情報ライブラリーからの地理院地図を加工したものであ。なお、以下の承認も受けている。

この地図は国土地理院長の承認を得て、同院発行の地理院タイル(数値地図2500(土地条件))、地理院タイル(数値地図5000(土地利用))及び地理院タイル(土地利用図)を複製したものである。(承認番号 令元情複、第197号)